すぽーつアミーゴ    藤井康雄&星野伸之引退企画 
【2002.12.10 KTV】

----1995年、オリックスブルーウェーブ初のリーグ制覇、そして96年巨人を倒し、初の日本一。…震災の年ですよね。頑張ろう神戸って書いてね。本当あの時は地域一丸となってやってた感じが。
星野:選手自体がそんなに練習出来なかったんですよね、震災で
藤井:最初、キャンプも来れない人は来なくていいよっていう状況の中で、本当に野球出来るのかな、野球やっていいのかなってそう思って…
星野:優勝なんて、まさかですよね
今から7年前、神戸の街が崩壊した。地元オリックスブルーウェーブは神戸市民と共に戦い抜こうと誓った。そしてその年、球団史上初となるリーグ優勝を果たす。
翌年にはチーム、そして神戸市民の念願でもあった地元神戸での胴上げを果たす。パ・リーグを連覇。
更にその年、オリックスは長島巨人との日本シリーズを制し日本一の栄冠を手にした。
そして、その優勝の陰に藤井選手に宛てられた一通の手紙があった。
----手紙、これは?大好きな藤井選手へって書いてましたね
藤井:お母さんの方から最初手紙を戴いて、子供が落ち込んで登校拒否のようになってしまった。でも、そこにちょうどオリックスがあったというような形で。オリックスがあったから今、この親子は元気で暮らせてるっていうようなそういう手紙を戴いてね、反対に励ましてもらった部分もあるし、やっぱり皆を勇気づけてあげれたんだなと。この2年間というのはそういう思いがありましたね。
で、いまだに全試合かな、見に来てくれてますよ。
----星野選手はどういうような?
星野:いや、投げてなかったんですよ(優勝の瞬間)それでD.Jっていうのが同点HR打ちまして急遽慌ててユニフォーム着替えて、もう決まるって思って行ったらイチローがサヨナラヒット打ちましたよね、そしたら僕、おぼえてないんですけど仰木監督を突き飛ばして前に出ていったらしいんですよ(笑)
----(笑)ほんまや、監督の前に飛び出して行ってるもんな。2回(バンザイの腕を)回してますやん。突き飛ばして、2回回して…この試合に関しては星野さん何もしてないのにな。一番喜んでたんちがう?
星野:(笑)その通りです。自分が勝った時より喜んでましたよね、俺(笑)
----2000年、FAで阪神タイガースへ移籍、悩んだんですかね?
星野:悩みましたね
----あんな楽しい事もいっぱいあったのに…その決断した理由は?
星野:やっぱりセ・リーグの野球っていうんですかね、それを経験してみたかったという
藤井:反対に俺らは残ってくれよっていうよね、言ったんだけどね。
星野:まあ、これも色々あったんですよね
----行って良かったですか?
星野:結果的に良かったですよ。戸惑いも多少ありましたけど、ええ、行って良かったと思います。

阪神に移籍した星野投手はこの年の4月、対ヤクルト戦で8回まで無失点の快投を見せ、そして迎えた9回2アウト、完封目前。この時、星野投手を予想もしなかった事態が襲った。それは甲子園球場の大歓声、のしかかるプレッシャー…しかし何とかこのプレッシャーを乗り越え移籍後初の完封勝利を収める。

星野:「あと一球」って聞こえてるんですけど、あと一球なげてHRだったらどうしようとか(笑)
----そんなこと考えてるんや、あれ勇気づけられるんじゃないんですか?
星野:いや、もうちょっと点数があった方が。でも終わった瞬間気持ちよかったですけど
藤井:経験してみたかったな、そういうのね
----でもオリックス強いし、優勝の時凄かったし
藤井:いやまあそりゃあるけども、やっぱりまた甲子園っていうところは違うと思うんでね
----オリックスの時のお客さんの声援とどう違いました?
星野:パ・リーグの時は一人のヤジがよく聞こえるんですよ。僕が経験したのは、試合時間がねすごく長くなったんですよ。そしたら一人のお客さんが「星野、お前がそんなゆっくりした球投げるから試合が長くなるんじゃ〜!」(笑)
----(爆笑)そない変わらんでしょう、それは関係ないでしょう
星野:関係ないけど、ああ、そうかな、そうかなと(笑)
昨年、藤井選手は日本プロ野球史にはっきりとその名を刻んだ 9回裏、3点ビハインドで迎えた満塁のチャンス、代打で登場した藤井選手はここで何と逆転サヨナラ満塁HR あの王貞治にあと1本と迫るプロ通算14本目の満塁HRで見事パ・リーグ記録をうち立てた
----HRの魅力みたいなもの、あります?
藤井:HR打った瞬間っていうのは皆が注目してくれる訳じゃないですか、その魅力に取り憑かれたっていうか。
----一番気持ち良かったHR、1本あげてくださいっていったら?
藤井:うーん、今となってしまえば代打、逆転、サヨナラ、満塁HR…全てがついたHRかな。3対6で負けてて、それしかないっていう場面だったんで。
----それで勝ったんや?もうちょっと客入ったらね。こんなスゴイことやってんのに、カラカラやったやないですか?
藤井:それが一週間前に近鉄の北川君がそれをやったの。で、プラス優勝ってのがついた、あの後だったの。
----ああ〜、ついてないっすね
藤井:何でも二番手で終わってしまう(笑)でも自分の中ではね、よくやったんじゃないかとは思いますけどね。
----そして2002年、今年2軍の試合で初めて対決したんですか?
藤井:そう、僕も今年調子悪くて夏場2軍に落とされてたんで、その時にちょうど星野が調整で来た時に対戦あったんですよ。結果はサードのファールフライ(笑)でも初球ね、外真っ直ぐ、次のカーブ、うわ、こんなに遅かったっけ、キャッチボールのボールやん、これって(笑)
星野:でもその割にはカーブ、レフト方向に打ってたじゃないですか
藤井:外だったからね、流して
----星野さんも、一応おさえていこうっていう気持ちはあったんですよね?
星野:一応、あんまり打たないでくださいよ、とは言ってたんで
----そんで、サードファールフライ?何なんすかこの対決は(笑)
藤井星野:(笑)
藤井:だからこうやって引退した訳ですよ
星野:こういう風な遅い球で19年間もプロの仲間入りが出来て、色々辛いこともあったんですけど、今となってはいい思い出がいっぱいかなという気がしますね。
藤井:何でも2番手で終わってしまったけど、そんな中でもプロ野球史の中に少しは名前が残ったかなと。本当はもう一年、やってみたかったなあと、で、記録にチャレンジしてみたかったと。
----惜しいなあ、何とか今から無理なんかなあ
藤井:今2軍のコーチということでね、和製大砲、HR打てる選手というのがうちのチームにいないんで、是非そういう選手を育ててみたいなというのが今一番の目標ですね。
星野:より以上にね、これから野球を勉強して、最終的にはまたユニフォームを着てみたいなと思います。監督?いや、それは無理ですね(笑)